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サイズ不足のチームUSA、世界選手権ではランニングゲームを展開か!?

今月末からトルコで開催される世界選手権では、優勝候補とされるアメリカ代表が、16年振りとなる優勝を目標に掲げている。だが、2008年の北京オリンピック代表チームが1人も参加していない中、若手を中心とした新チームで勝つのは並大抵のことではないだろう。

特に人材が不足しているポジションはセンターで、現在の候補選手で純粋なセンターは、タイソン・チャンドラー1人のみ。
マイク・シャフェスキー代表HCは、チャンドラーとラマー・オドムをセンターとして起用する考えを明かしているが、サイズで勝る国との試合になれば苦しい展開になることは確実とみられる等、リスクも大きいチーム構成となる見込みだ。

これにより、ケビン・デュラントとルーディ・ゲイがパワーフォワードに起用されるとみられているが、これは北京でもレブロン・ジェイムスとカーメロ・アンソニーを4番に起用した実例があるだけに、さほど問題にはならないだろう。
しかし、やはり北京でのドワイト・ハワードのような存在が、今の代表チームには欠けていることは否めない。

シャフェスキーHCのプランでは、当初はアマレ・スターダマイヤー、もしくはデイビッド・リーのどちらかをセンターで起用する考えだった。しかし、スターダマイヤーは保険の問題で代表入り出来ず、リーも合宿初日に指を負傷して脱落する等、全ての構想を練り直さなくてはならなくなってしまった。

シャフェスキーHCは、「我々の予定では、アマレとデイビッドのタレントを重視するチーム作りをするつもりだった。しかし、彼等2人がチームを去った今、残っている選手達だけで、新たなシステムを作らないといけない」とコメントしている。

現存メンバーが取る戦法とは、クイックネス、身体能力、シュート能力の高さを駆使した戦略だろう。しかし、ペイント内で得点が取れない場合、ガードとウィングにかかる負担は大きくなる。ディフェンス3秒ルールが適用されない国際試合では、こうした戦術が不利な戦況を招きかねない。

シャフェスキーHCの構想では、ラッセル・ウェストブルック、レイジョン・ロンド、アンドレ・イグドーラを徹底して走らせ、相手のターンオーバーを誘発させて、ランニングゲームに持ち込む展開を狙っているとされている。
仮にこれが機能しない場合、チームは必ずリバウンドを取る必要が出てくるのだが、今回のメンバーでは、サイズ的にリバウンドの競り合いに勝つのは厳しいとされている。

215cmのチャンドラーはペイント内のディフェンスに優れているが、現在の候補選手の中で、リバウンドに最も優れているのは、ケビン・ラブとされている。昨シーズン平均15.3リバウンドという数字は非常に素晴らしいのだが、ラブはチャンドラーやオドムのような走力を持っていない。
つまり、それだけ今回の代表チームでは、リバウンドを必死に奪う姿勢、そしてガードの攻撃参加が非常に重要になってくるということでもある。

フィジカルで勝る国が相手となる場合、アメリカはチャンドラーかオドムをセンターに、そしてラブをパワーフォワードに配置する布陣が予想される。
一般的ではない布陣なため、オドムの出場時間が大分増えることになるだろうが、それでも勝つためには、相手を自分達のスタイルに引き込む必要が出てくるだろう。

必勝を期待されるチームUSAだけに、代表チームにかかる重責は大きい。期待通りの結果を出せるか、シャフェスキーHCの手腕、そして選手達の力量に注目したい。